導入事例
東大阪市立総合病院様
最適な動画ネットワークシステムの選択と導入
電子カルテ・PACSとの連携を図るために
要旨:当院では、動画ネットワークシステムの更新に当たり、循環器部門と院内の他部門との連携を潤滑に図れるシステムの構築に取り組んだ。その過程と運用方法に関して報告する。
東大阪市立総合病院 循環器内科 市川 稔様に執筆いただきました。
月刊新医療2016年1月号からの転載文
導入製品
当院の位置付けと循環器内科の実績
循環器専用の動画ネットワークシステムを導入
11年度に院内での電子カルテシステムの導入に伴い、画像システムも一元化する運びとなった。
1. 導入時期
2012年6月
2. 導入背景
3. 動画の運用方針
統合画像サーバシステムの機能を生かすために、過去の画像は全てPACSへ移行し、Kada 動画ネットワークシステムへは直近の3年間分移行し、循環器部門専用のスモールサーバシステムを構築した。3年より過去の画像は、PACSを検索して読影している
4. 使用部門
循環器内科、臨床工学科、放射線科
接続しているモダリティ(図2)
・フィリップス エレクトロニクス ジャパン社製 アンギオ装置:1機
・東芝メディカルシステムズ社製 アンギオ装置:1機
・ボストンサイエンティフィック社製 血管内超音波装置(IVUS):1機
・ボルケーノ・ジャパン社製 血管内超音波装置(IVUS):1機
・セント・ジュード・メディカル社製 光干渉断層法装置(OCT):1機
・ファイバーテック社製 血管内視鏡装置:1機
・日本光電社製 ポリグラフ装置:1機
導入した動画ネットワークシステムの特長
1. DICOM動画サーバKada-Serve の特長
2. DICOM動画ビューワ Kada-View の特長
Kada-View は、アンギオやIVUS、超音波、CT、MRIなどのDICOMデータを快適に表示するためのDICOMビューワである。Kada インターフェースにより、誰でもすぐに使える直観的な操作性が実現された。学会などのプレゼンテーション用のデータ作成に非常に有用であり、画像ネットワーク端末としても、さまざまなサーバシステムとの接続実績があるため、院内ネットワーク用のDICOMビューワとしても、さまざまな場面で多数活用できる。
3. 心機能解析ソフトウェア
PieMedical 社のCAAS 5シリーズでQCA、LVAを有している。CAAS 5はKada-View とシームレスな連携ができる。また、解析した結果は動画サーバ(Kada-Serve)に送信し、検査に追加保存しているため、動画とともに参照できる。
4. 循環器レポートシステム Kada-Report の特長
Kada-Report は、FileMaker をベースとしたカテレポートシステムである。各施設独自のデザイン、フォームを構築することができ、作成したレポート結果は、電子カルテシステム上で閲覧することができる。過去データの移行も可能である。
システム導入のポイント
価格面
導入時に、他社システムと比べて導入費用および保守費用が安かった。バージョンアップ費用も少額であり、そのことも評価のポイントであった。
IVUS画像の読影について(図3)
従来のシステムでは、IVUS画像を読影するにはIVUS装置からディスクに保存し、そのディスクから読み取る方法をとっていたため、手間が生じていた。
フォトロン社動画ネットワークシステム導入後は、IVUS 装置から動画サーバへ画像送信でき、ビューワから見たい時すぐに呼び出しできて手間がなく読影できるようになった。
また、Kada-View の機能の特長であるIVUSの長軸像をビューワ上で参照できること、これは通常のIVUSのビューワからでは短軸のみしか参照できない。
また、プレゼン用に必要な部分だけを選択し切り貼りができたり、病変長の計測も可能であることは他のビュ—ワにはなく、非常に重宝している。
カテーテル予定表について(図4)
従来当院での予定表の運用は、予定表用紙に手書きで記入してから院内FAXで通達していたため、急な予定変更に対応ができなかったり、保存の一貫性がないため、情報の信憑性に欠けていた。
また、電子カルテではオペ室の手術予定は確認できても、カテ室の手術(PCI)や検査(CAG、Ao Gなど)は反映できないなど非常に不便であった。
そこでフォトロン社との打ち合わせにより、動画サーバ導入に合わせて予定表の運用の見直しを図り、院内システムで共有できるレポートシステムも兼ねた予定表を構築した。それにより、院内の6ヵ所の端末上で予定表の確認ができるようになり、カテ検査に関わるスタッフとの情報伝達がスムーズに行えるようになった。
レポートのカスタマイズ性(図5)
従来は病院で構築したオリジナルのレポートシステムを使用していた。フォトロン社のカテーテルレポートシステムは、前述したように予定表との連携、CAG、PCI、ペースメーカーを含む各種カテーテル検査、治療に必要な入力、印刷フォームを備えていた。
導入前より当院の要求を踏まえフォームのカスタマイズを行ってもらうことにより、当院オリジナルのレポートシステムが構築できた。導入後にも数度にわたり改良を加え、かなり完成度の高い、満足のいくレポートシステムに仕上がった。
血管内視鏡画像の運用について(図6)
当院ではカテーテル治療にさまざまなイメージングを用いている。特に血管内視鏡を用いた場合に、患者様へ血管内視鏡の画像を供覧しての病状説明を望んでいた。しかし、当院で使用している血管内視鏡は、動画サーバへ送信する機能を有しておらず、毎回、ディスクに保存する煩雑な方法しかないと諦めていた。そのことをフォトロン社に相談したところ、DICOMゲートウェイ装置と接続することで解決できるとの返事であった。今は、望んでいた診察室、患者説明室でビューワを用いて、患者様への病状説明ができるようになり、大変役立っている。