導入事例
富山大学附属病院様
動画像ネットワークがもたらす効用について
─高まる情報共有の必要性
要旨:医療の高度化・専門化に加え、医療資源の有効利用からも情報共有の必要性が高まっている。動画像も同様に、血管撮影室以外の場所においても、同等の精度で迅速かつ容易に参照・評価できることが必要である。
富山大学附属病院 放射線部長 瀬戸光様、診療放射線技師長 新谷光夫様、副診療放射線技師長 熊谷道朝様、診療放射線技師 橋本将彦様に執筆いただきました。
月刊新医療2012年1月号からの転載文
導入製品
施設概要
ー病院再整備計画が進む
動画像管理の変遷
Web配信の導入経緯
動画像ネットワークを構築して
11年8月から院内動画像Web配信が実現したことにより、各科外来及び病棟での患者説明が容易に実現している。診療科の医師からは、Web配信画像は詳細な診断には耐えられるものではないが、患者説明時や同僚からの病状報告時には、電子カルテ上からストレスなく参照されるため、他の検査画像、検査結果と比較しながら閲覧できる点でも有用であると聞いている(図2)。
特徴としてKada-View 専用端末と同じ操作性が挙げられ、他のビューワの多くはDICOMビューワとWebビューワとでは異なるGUIであるが、このフォトロン社製Webビューワでは、同一GUIで構成しており、画面の操作性が全く同じである。これは混乱なく使用できることから評価は高い。Kada-View 端末では、あらかじめ端末に必要な動画を読み込んでおけば、即座に検査データを閲覧することができるため、検査後のカンファレンス室での大型スクリーンを用いた検討会にも利用されている(図3)。
全ての専用端末からはPACSサーバにもアクセス可能となっており、動画像と他のモダリティの静止画像を並べて診断できる。また、QCA/LVA解析も全端末で行うことができ(同時起動ライセンス数2)、診断・研究目的にも利用されている。
この他にも院外症例検討、研究発表用途として専用端末から汎用ファイルに変換する機能が標準で備えられており、動画ファイル「AVI」、「MPEG」、「WMV」形式に変換が可能であり、静止画ファイル「BMP」、「JPEG」、「TIFF」にも対応している。プライバシー保護の観点からも患者名を匿名化することができ、個人情報の漏えい防止にも役立っている。ただし、安全管理上の観点よりメディアへの書き出しはCD-Rのみとしている(図4)。
IVUS画像については、DICOMビューワ上で長軸像の生成を自動的に行う仕様となっており、狭窄部位の目視確認と距離計測、面積計測を行うことができ、検査後の患者への説明においても非常に有用な機能を備えている(図5)。
PACSシステムとの大きな違いは大容量の動画像データをいかにストレスなく動作させ、かつWeb参照についても他部門システムとのスムーズな連携が重要と考える。近年、循環器に限らず一般血管撮影の動画像データも容量が大きくなってきており、最大2048マトリックスまでの画像にも対応が必要であるが、今回導入した動画サーバは右記の2048マトリックスまで対応しており、全ての画像をWeb配信できるようWMV形式に自動変換することが可能である。また同一ハードウェアでの生成ができるため、ハードウェアの新たな購入も必要なく、非常にコストパフォーマンスも優れている。
今後は、透視検査画像での動画保存の需要も増えることが考えられ、動画サーバへの取り込みも検討している。
十二分に力を発揮する動画像ネットワーク
近年、HIS/PACS端末から各種の撮影画像を閲覧する用途が増えてきており、どの端末からでも画像を観察できる環境が求められる今日において、「Kada-View-Web」は高度な圧縮技術とストリーミング配信により、ネットワーク環境に左右されることなく、電子カルテに対応した動画像Web-Viewerであり、操作性・即時性・画像品質においても十二分に力を発揮してくれている。今後、他のモダリティが増えてきた場合においても、あらゆる状況に対応できる動画専用Web-Viewer であると確信している
瀬戸 光(せと・ひかる)
●72年金沢大医卒。同年同大医学部附属病院研修医(放射線科)。74年カナダ・マギル大医学部モントリオール総合病院放射線科レジデント。76年同大医学部附属病院助手(核医学科)。78年富山医科薬科大医学部講師(放射線医学)。80年助教授、96年教授。97年年中国蘇州医学院客員教授(核医学)。06年富山大大学院医学薬学研究部(医学)教授(放射線診断・治療学)。同大附属病院放射線部長。
新谷光夫(しんたに・みつお)
●75年金沢大医療技術短期大学部診療放射線技術学科卒。同年金沢医科大附属病院中央放射線部診療放射線技師。79年富山医科薬科大附属病院(現富山大附属病院)放射線部診療放射線技師、83年主任診療放射線技師、03年副診療放射線技師長、10年診療放射線技師長。
熊谷道朝(くまがい・みちとも)
●80年金沢大医療技術短期大学部診療放射線技術学科卒。同年富山医科薬科大附属病院(現富山大附属病院)放射線部診療放射線技師、89年主任診療放射線技師、10年副診療放射線技師長。
橋本将彦(はしもと・まさひこ)
●04年岐阜医療技術短期大診療放射線技術学科卒。同年富山医科薬科大附属病院(現富山大附属病院)放射線部診療放射線技師。