導入事例
横浜労災病院様 Windows Media 9™ を採用した、高パフォーマンス動画像専用サーバ登場「Kada-Serve」
DICOMデータの作成から表示、管理、運用までを実現するKadaシリーズは、医療分野における最新の動画ネットワークシステムとして、あらゆる場面でご利用頂いてきております。
「Kada-View」「Kada-Serve」の特徴について、横浜労災病院循環器科部長加藤健一先生のお話を交えてご紹介いたします。
本原稿は、「映像情報Medical」 2003年8月号掲載記事よりの転載です。
当該記事の著作権は掲載された雑誌・媒体に帰属します。
導入製品
(株)フォトロンからこのほど発売された「Kada-Serve」は血管造影装置などから院内ネットワークを介して送られるDICOM動画像データを受信し、Windows Media 9 ™ 形式に圧縮して保存・管理するための医用動画像参照システム(サーバー)である。
また同社のビューワソフト「Kada-View 2」はノートパソコンでWindows Media 9 ™ 形式に変換した高画質の医用画像を参照・加工できるという。そこで、同社製品企画室の加藤確氏にそれらの製品の特長についてお話を伺った。
Windows Media 9™ 対応で高画質を維持
フォトロンのMEグループでは、長期保存データに関してはDICOMに匹敵する高画質さえ維持できればDICOMでなくともよいとの前提を基にMPEGを含む種々の動画像圧縮フォーマットを検討した。その結果、圧縮効果、画像品位などの点においてWindows Media 9™が最も優れているとの結論に達した。同フォーマットでは仮に血管造影1検査分のDICOMデータが250MBとすると、その6%、わずか15MBに圧縮でき、しかもDICOMと遜色ない画像品位が保てる。実際に両方の画像を比較してみたが、説明がなければ、区別がつかないほど、高い画質を誇っている。
同社の推奨するKada-Serveの使用例では、真近1ヵ月間のデータはDICOMとWindows Media™の両方で保存しておき、それ以降はDICOMデータをCDまたはDVDなどに落とし、原本として保管し、1ヵ月以上経過したデータはWindows Media™で保存する。サーバーの標準的な記憶容量である72GBの場合、血管造影のDICOMデータのみの場合約288件まで、またWindows Media™データのみの場合は5,000件まで保存できる。通常は両者が共存しているので、例えば1ヵ月に50件の血管造影を行う施設の場合、DICOMデータの保存に必要な容量は250MB×50で12.5GB、残りは59.5GBでこれを全てWindows Media™データで保存するとすれば、約4,000件、6年半分以上のデータを保存することになる。
現在、医用画像データの標準フォーマットはDICOMだが、シネアンギオなど動画像データをDICOMデータだけで管理しようとすると、1検査あたり数百MBという膨大なデータ量になるため、初期のネットワークシステム導入コストおよび運用・管理コストが高額になるという問題があった。
Kada-Serveは動画像データ圧縮などの改良により、ビューワソフトのKada-View、ビューワとしてのノートパソコンなどを含めたシステム導入コストの低減を実現している。
画像フォーマットを意識しない優れた操作性
このKada-Serveは同社の動画専用マルチモダリティDICOMビューワである「Kada-View 2」を使用することを前提に作られている。
Kada-View 2には、(1)DICOMデータに添付されている患者情報、検査年月日、同期心電図などのデータを表示でき、患者IDなどによる検索が可能、(2)画像データ上の9つのエリアにポインターを移動させることでほとんどの操作が行える、(3)動画参照時の音声付きレポートが作成可能(ムービーレポート機能)、(4)超音波やIVUSなどのカラー画像にも対応、(5)ノートパソコンで手軽に使える、などの特長がある。
(2)については、従来のビューワソフトは機能を選択するのに画面上のボタンやプルダウンメニューから機能を選択してクリックするタイプが多かった。Kada-View 2もその操作方式を備えているが、それとは別に画像上の9分割されたエリアにポインターをもっていくことで、種々の操作を行うための赤いアイコン(フィルターウィンドウ)が現れ、明度、コントラスト、γ値補正、フィルター処理、ズーム・パン、表示スピードなどの操作ができる。
(3)は、カンファレンスなどで画像を供覧しながら、説明していくように、画像と共に音声やマウス操作、矢印や囲み線などを記録できる。
また学会発表などの資料作成にはDICOMではデータ量が大きすぎて扱いにくい。そこでDICOMの画像データから必要な部分をトリミングして、静止画、ピットマップイメージ、JPEG、TIFF、MPEGなど種々のフォーマットでファイルを作成し、ほかのプレゼンテーション用ファイルの中に貼り付けることもできるという。そして、これら全ての操作はDICOM形式でもWindows Media™形式でもその画像フォーマットを意識することなく行うことができる。
現場のニーズを的確かつ迅速に吸い取り、商品化に結びつけるフォトロン。その企業姿勢は、ここであげた医療システム開発においても顕著である。
Kadaインターフェース
きわめて直感的な操作性を重視。ビューウィンドウ上に割り当てられた9つのエリアで、動画再生に関連する全ての機能が操作できる。
(特許出願中)
Kada-View2ユーザー訪問
横浜労災病院循環器科 部長 加藤健一先生に聞く
今年3月からフォトロンのビューワソフト「Kada-View 2」を導入した横浜労災病院循環器科部長の加藤健一先生に、その使用経験などについてお聞きした。
同科では現在、2台ある血管造影装置の内1台をサーバーにつなぎ、3台のビューワに自動転送している。今のところは全てDICOM画像で管理しており、古いデータはDVDに落として保存している。同科の血管造影検査は年間1,500件、インターベンションが500~600件程度である。
加藤部長にKada-View 2の印象を聞いてみると、「使ってみて、一番の印象は動作が軽いことです」という明快な答えが返ってきた。
同科で導入したサーバーは、いわゆるストリーミング型でなく、ファイルを配信するような普及型サーバーで、他社の製品であるためKada-Viewの導入にあたっては困難が予想されたが、フォトロンのエンジニアの努力で何とか切り抜けた。
「パソコンのソフトさえ立ち上げておけば、検査の終わった順にビューワに自動転送されてきますので、すぐに結果を見ることができ、患者さんへのムンテラがしやすい。また過去の検査画像を呼び出す場合も非常にスムーズです。それにDICOMデータからMPEGファイルを簡単に作れるので、学会報告などで使うプレゼンテーションソフトへの転用に便利ですね」と加藤部長。
同科では現在、画像データの完全なDICOM変換への移行中だが、もう1台の血管造影装置がDICOM対応機種に更新されるまでの間、同社のアナログ信号をDICOMデータに変換する(Kada-Gate)の導入を予定している。